サブスクリプション(サブスク)銘柄の分析方法を解説。正しいサブスクリプションの見方とは?

サブスクリプション(サブスク)銘柄の分析方法を解説

世界的に大流行のサブスクリプション(英語:subscription、通称:サブスク)。株価も高くつきやすいビジネスモデルですので個人投資家の関心も高いと思います。

しかし、一般的にサブスクリプションでのサービス提供をやっている企業の方が少ないと思われます。

その為か、ストックビジネスである「サブスク銘柄」にも短期的な四半期決算での売上のサプライズを期待する投資家も見受けられます。(※サプライズがないとは言えませんが、サプライズが一般論でフロービジネスより起こりにくいビジネスモデルです。)

この項では、そんな誤解が少しでも溶ければという思いで、サブスクリプション(サブスク)銘柄の分析方法を晒したいと思います。

なお、フロービジネスとストックビジネスが理解できる前提で進めますので、あまりストックビジネスとフロービジネスに理解がないという方は、以下記事を事前に参照下さい。

サブスクリプションとは?サブスクリプションの定義とは?

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サブスクリプションとはビジネスモデルの1つ。利用者はモノを買い取るのではなく、モノの利用権を借りて利用した期間に応じて料金を支払う方式を取っているものです。

しかし、この定義だとただの分割払いですら「サブスクです!」とか言い出しており、最近は何でもかんでもサブスクと言ってしまう風潮がありますので、私は更に以下の2つの条件を満たすものを本物のサブスクリプション(サブスク)として定義します。

  • サービスを続けている限り契約が続き、期限の定めがないこと。
    (単なる分割払いでないこと)
  • 月額、または年額など一定のサイクルで顧客の口座から定期的に集金できること。

サブスクリプション(サブスク)銘柄の主なKPI

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サブスクリプション(サブスク)銘柄を分析する際に確認すべきポイントは以下の5つの要素がポイントです。多くのサブスクリプション形式でサービスを提供している企業でKPI(英訳:Key Performance Indicator、重要業績評価指標)が設定されている項目です。

  • 顧客数(≒純増数)
  • ARPU(1顧客あたりの平均利用額)
  • 解約率(チャーンレート)
  • 平均顧客獲得単価
  • 平均の継続利用期間

これらの詳細や各項目の分析方法については順を追って見ていきますが、サブスクリプション(サブスク)銘柄を見ていく為に必要な項目は主に5つであることを頭に入れていただければと思います。

サブスクリプション(サブスク)銘柄の分析方法の方程式

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先に結論から。サブスクリプション(サブスク)銘柄を分析するための方程式です。

方程式は「顧客数×ARPU(1ユーザーあたりの平均利用額)の掛け算」ですので、両方とも増えていれば売上の面積が掛け算で積み上がります。どちらかが減少した場合は、減少していない方の上昇で減少幅を吸収できるかがポイントです。そして両方が減少した場合は両方掛け算で減少します。

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この方程式のユーザーがどれくらいの長さでそのサービスを利用してくれているかにより、将来の見通しを推察することができます。

例えば、サービスを平均5年使うとしたら今期の売上の5年分から解約率を控除した売上までは予測が立ちますので、あとは出したい利益のためにコストをどうコントロールするかだけです。

契約期間の縛りや生涯価値の高いサービスであれば、回収の見通しが立ちますので積極的な投資を仕掛けられるのも、この方程式があるからです。

全ての方程式が掛け算で成り立っていますので、顧客数、ARPU、平均利用期間がどれか少しでも上昇すると、掛け算で業績に効いてくる点も魅力であり、株価が高くつきやすいポイントです。

サブスクリプション(サブスク)銘柄の利益の考え方(原価と平均顧客獲得単価)

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提供するサービスの原価と獲得コストです。

★原価について
仕入れ等で原価が生じて、年額または月額払いで回収するケースは一時的に仕入原価分の現金回収が遅れます。つまりキャッシュフローが悪化しますのでこの点には注意が必要です。特に、今まで売り切りを生業にしてきた企業がサブスクを始めるとキャッシュフローの状況が変わります。
★獲得コストについて
サブスクにおいて獲得コストは非常に重要です。一般的に売り切りの場合は全ての売上をその場で回収できるのに対して、サブスクは長期利用で回収するモデルです。

獲得コストが高いと、獲得が先で料金の回収が後になりますので損益分岐点(リクーププライン)を超えるまで、キャッシュアウトの先行額が大きくなるだけでなく、毎月の利用額から黒字化するタイミングが後ろに倒れます。当然、獲得コストが安くユーザーからしっかり利用料を取れて、リクープラインが短い方が良いです。

★利益について
利益については、損益分岐点を超えた顧客についてはサービス・顧客の維持費こそかかりませんが、追加のコストは発生しにくいので年を重ねる毎にミルフィーユのように利益を積み重ねることができます。

ここまでがサブスク銘柄の基本的な考え方です。

純増数の見方

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サブスクで最初に見るべき指標は契約しているユーザーの増加です。シンプルに顧客基盤がどれくらいあるかですので、これはわかりやすく多くの人が理解できると思います。

一定の期間の間の新規ユーザーから解約ユーザーを引いたものを純粋にユーザーが増加した数として、純増(ユーザーが減少した場合は純減)として使われます。

これは多くのサブスク企業で決算時点の契約者数か純増数を開示してくれているのが大半ですので、そのまま受け取って大丈夫です。

解約率(チャーンレート)の見方

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解約率についてはその企業が開示してくれているか、していないかにつきます。

解約率を重要視する理由は、サブスクリプション形式は一般的に長い期間にわたり利用料を稼ぐモデルですので、途中で離脱するユーザーが多いと収益に大きな差が出るからです。

上記の表は解約率が月次2%だったケースと月次1%のケースです。

(例)月額1,000円のサービスだったケース(※整数のみ計算)
【解約率1%】
・3年間の収益=3,034,000円
・36ヶ月目単月の収入=70,000円
【解約率2%】
・3年間の収益=2,582,000円
・36ヶ月目単月の収入=49,000円

仮に今月契約したユーザー群に解約率で1%の差があると3年後には残存するユーザーに大きな差が出ます。

先程リクープラインの話をしましたが、解約率に狂いが出ると、想定していたリクープラインに足りず、コストが回収できなかったり収支が足りなくなるケースが出てきます。

このようにサブスクにおいて解約率は切っても切り離せませんのでサブスク銘柄においては説明会やIRで聞く項目の一つとした方が良いと思います。

ARPU(1顧客あたりの次の平均利用金額)

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次にARPUを見ていきます。ARPU(アープ、アルプ)とはAverage Revenue Per Userの略で、1ユーザーあたりの平均利用額です。

元々通信事業者が使っていた用語のようで、月あたりで表現するケースが多いようです。(類義語で、アカウントを分母とするARPAや課金ユーザーのみに絞ったARPPUなどがあります。)

この指標は開示されているケースとしないケースがありますが、開示されていなくても売上とユーザー数があればざっくりと計算できますので、簡単に計算方法をお伝えします。なお、自ら計算される場合はサブスクリプションで得られている売上だけを切り出すようにしてください。

四半期①売上②ユーザー数③ARPU
1Q6,000,00010,000600(200)
2Q6,930,00011,000630(210)
3Q7,920,00012,000660(220)
4Q9,360,00013,000720(240)

サンプルケースです。このように①売上と②ユーザー数と顧客数の開示はあり、③ARPUの開示がないケースの場合は①売上÷②ユーザー数でARPUを算出する必要があります。(四半期開示の場合は3ヶ月で更に割ってください。ユーザー数を加重平均して割り算をするとより良いでしょう)

そして、月額でお客さんから取っているお金をオプションなどで増やすことができているか?というチェックができるのもポイントです。もちろん同じ金額をもらい続けるだけでもサービスとしては成立しますが、先ほどの方程式でARPUも掛け算の一つですので、ARPUを上昇させることができるかどうかも投資家としては注目しなければなりません。

このARPUの向上に成功しているのが、Amazon Primeの値上げやNET FLIEXの値上げなどです。

平均の顧客の利用期間(LTV)

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サブスクは定義が表すように、売り切りのサービスではありませんので、顧客がサービスを長く続けてくれれば続けてくれるほど儲かる仕組みです。つまり、「長く続けてくれているか」というのは非常に重要です。

また「長く続けてくれる」というのは、サービス自体の優位性や魅力と表裏一体ですのでサービスの評価にも役に立ちます。

一概には言えませんが、獲得コストや原価やARPUが「サービスA」と「サービスB」が同じ場合、当然「サービスB」の方が評価されます。

その他、サブスクリプション(サブスク)銘柄で注目すべきポイント

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その他、注目すべきポイントをまとめました。サブスクリプション(サブスク)銘柄に限りませんが、競合情報やリプレイス難易度(≒参入障壁)、利益率や貸し倒れリスクといった一般的な企業でも注意すべきポイントは同様に注意した方がいいでしょう。

サブスクリプション(サブスク)銘柄だけに限るポイントとしては、売上に占めるサブスクリプション比率でしょう。特にフロービジネスからストックビジネスに転換しているタイミングではフロー分の売上が落ちますので、決算映えがしにくくなりますので正しく評価されない可能性があります。

サブスクリプション(サブスク)銘柄の分析方法まとめ

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というとことで長文になりましたが、基本的なポイントは「顧客数×ARPU」です。投資を検討している銘柄の場合はこの方程式を今一度確認するようにしてください。

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